またまた4回石川です。久しぶりに長編ブログを書こうと思います。 【東海関西競技会Day5】 5日目は天気予報が曇り。なかなか条件が期待できないなか、ひとまず新ライセンシーである4回若林と3回深尾が大野南向き発航での経験を積んでもらうため、それぞれ3〜4発ずつ飛びました。 結局この日は誰も滞空することはなく、全チームが発航をキャンセルして14:43最終発航で終了。練習フライトをあわせて50発となりました。しかし南向きで時間12発を飛ばしたのは、さすが東海関西の精鋭たちが揃っているだけあります。 また、この日は京都から後輩&OB大塚さんたちが応援に来てくれました!阿闍梨餅のお土産、美味しかったです。 さて、この時点での暫定順位ですが 団体の部 第1位 関西大学 801.5点 第2位 京都大学 662.6点 第3位 名古屋大学 30.0点 個人の部 第1位 関西大学 中津 792.5点 第2位 同志社大学 根本 784.0点 第3位 京都大学 石川 661.6点 でした。さらに翌日のBLIPMAPのエマグラムが下のもの。 正午でこれなので、うーむ、これは決まったかなあ。という一種の諦念が、大会全体を包んでいました。明日もバッタ大会をして、関大の完全優勝で終わりかな、と。二連覇かあ、強いなあ関大。なんてことを思いながら寝床につきました。 【東海関西競技会Day6】 東海関西競技会も最終日。朝のウェザブリでも、前日の予報通りサーマルトップは1500ftほど。こりゃ勝負あり。普段の合宿だったらソロ日和だ!なんて言って練習許可生が次々とソロ溜めをするのですが、競技会なのでただのバッタ祭りです。しかも南向きで。RWワークしんどいっちゅーねん。 やはりこの日も若林と深尾が順番に南向き場周の練習をしていました。深尾の代わりにピストカーにいた私は、二人の着陸を一人で品評していました(仕事しろ)。 …と、動きがあったのが11時過ぎ、深尾のフライトでした。高度を稼ぐことこそできなかったものの若干上昇気流を見つけ、後続機と同時進入しました。私はピストにいたので「同時進入です!」と叫んでクルーたちを走らせました。 帰ってきた深尾が一言。「今行ったらあるかもしれないですよ。ここの集落のあたりです。行きます?」 もっとも、すでに勝負は決していると思っていた私は、せめて滞空点でも稼ぎにいく、くらいの気持ちで渋々ASK23で搭乗希望を出しました。発航前に若林が撮ってくれた写真ですが、改めて見ても顔色が曇っています。それ以上に空も曇っていたわけですが。 ↑広報用の写真なんだからもうちょっといい顔しろよ。 結局、これが大逆転の1フライトになりました。 発航は残り索。直前に発航したASK21のルートをよく見ます。離脱して、WT上空…ダメ、川をわたって工場…ダメ、北に伸ばしてもう一つの工場…ダメ、エントリーに向かってまた別の工場…ダメ。 なら深尾の言っていたあの集落しかない。「関大23、準備よし。」図らずもその時乗っていた機体は、暫定優勝関西大学の機体でした。 離脱して例のポイントまで直行。定番ルートは、前の機体が回らなかったのですべて無視。高度300mで、バリオが若干プラスを指しました。しかし強いサーマルではない。でもそれでいい。とりあえずここで粘ろう。そう思ってじりじりと回り続けました。 定期的にRWとエントリーポイントを見て、粘れるパス角であることを確認しながら、回り続けました。上がらなくていい、300mを維持し続ければいい。 ここで運が良かったのが、私の出発直後にWTが無線トラブルで10分ほど発航が止まったことです。他に空中にいる機体はありませんでしたので、対空警戒にそれほどリソースを割かずとも安全に回り続けることができました。 WTの無線トラブルが解消し、発航が再開した後も、他の機体は上がることなく、数旋転の後殆どが降りていきました。この点先行機は有利です。私は離脱地点からほど近い場所を陣取っていたので、後続機からすれば相当邪魔だったでしょう(みなさんごめんなさい)。 ただしその間も状況が改善することはなく、ジリ貧300mバリオ0の状況を30分ほど維持し続けました。しんど。 しかしここで、一つ強いサーマルに当たります。バリオはコンスタントに+1m/sを指している。これなら上がれる。すでにだいぶ参っていた私にとっては救いの一手でした。高度に余裕ができればその後の動きも楽になると思い、登れるところまで登ろうとしました。 とはいえ、そのサーマルも結局600mほどで頭打ちになってしまいました。精神的にはだいぶ余裕ができたものの、チラリと第一旋回点の脛永橋の方向を見ても、遠い。1pはまだまだだな。と思い、どうしても湧いてくる欲を抑えつつ、その場で回り続けます。もしかすると、このまま僅かな風に流されて、高度を維持しながら少しずつ旋回点の方に向かえるかもしれない…と思い、プラスが無くならないことを祈りました。 やがて2km、時間にして20分ほど(歩いたほうが速いんじゃねえか?)、風下に流され続け、RWよりも脛永橋のほうが近いといえる場所まで流されてきました。幸運なことに、高度も若干上がって650m。ふと空を見上げれば、すぐ上に積雲がある。しかもその積雲はストリートを成しており、ちょうど脛永橋の方向に続いている… 「行くしかない。」 逆転を賭け、その場を離れ、旋回点へ向かいました。沈下に入らないように、慎重に、しかし大胆に、旋回点に向かっていきました。 結果、ガイドライン高度スレッスレで旋回点をクリア。後にGPSの記録で判明しましたが、下限高度575mの旋回点を回り終えたときの高度が、ちょうど575m。あと1mでも低ければ減点されていました。 旋回点を回った直後、-2m/sの沈下に当たりました。上昇風帯が100mでも横にずれていて旋回前にここを通っていれば、旋回点クリアはできていなかったでしょう。 クリアしてしまえば、やることは一つ。第2旋回点の役場に向かうしかない。(1pした時点で滞空点の加算はなく、距離点と速度点のみになるルール) まずは先ほどのストリートに戻り、+1m/sで上がれる場所を探して落とした高度を取り戻します。東の空を見ると、川を渡った向こう、2kmほど離れたあたりにもう1本ストリートが見えていました。高度を取り戻してから、あちらのストリートに渡り、さらに上げ直して役場をクリアしよう、という計画を立てました。 高度を680mまで取り戻し、川を渡りました。残念なことに、この先で上昇風帯を見つけることはできませんでした。数か所定番の場所を巡りましたが、前半と同じく300mで粘れるようなサーマルしかありませんでした。 ここで、暫定優勝の関大・中津選手がASK13で発航して来る無線が聞こえました。おそらく、地上では2機しかないASK23が取り合いになり、仕方がなくASK13で上がってきたのでしょう。 とすると、地上にはASK23に乗れる選手が1人少ない。私が今降りれば、チームメイトの4回鈴木がASK23に乗ることができ、若干の滞空点を稼ぐことができるのではないか。そう考え、役場に向かうことを諦めてダイブブレーキを全開にし、速やかに場周に戻りました。このフライトの飛行時間は1+04でした。 着陸後、翼端を取りに来た鈴木にすぐにGPSを渡し、「粘れる、行って来い。お前も得点して来い。」と伝えました。しかし、鈴木が発した一言。 「無理やで。もうあと10分で競技が終わる。」 え? 時間を確認すると12:50。競技終了は13:00。残念ながら、鈴木が発航することはありませんでした。最後の最後に読みを外してしまった。 ↑大逆転フライトのGPSログ 【結 果 発 表 〜 〜 〜 〜 ! ! ! !】 団体の部 第1位 京都大学 1012.6点 第2位 関西大学 802.5点 第3位 名古屋大学 30.0点 個人の部 第1位 京都大学 石川 1011.6点 第2位 関西大学 中津 793.5点 第3位 同志社大学 根本 784.0点 ということで、2022年ぶり2回目の団体優勝、2011年ぶり2回目の個人優勝、そして京大史上初の完全制覇を果たし、東海関西競技会は幕を閉じました。ちなみにポイントなのが、関大・中津選手もASK13で12分の滞空を果たし、1点の滞空点を獲得していた点です。やはり彼は腕の良いパイロットです。航空大でもがんばってね。 ↑KUGCのライセンシーたち。サプライズで来た4回松谷と、「俺もライセンシーだよな」と言って加わった山ア教官とともに。 パイロット一人が飛ぶためには、一体地上に何人を残さなければいけないのでしょうか。競技委員の方々、これまで技量を伸ばしてくださった教官方、そして我々5人を競技会へと送り届けてくださったKUGCの部員とOBOGの方々全員のご尽力が、何一つ欠けなかったことによって初めて、私達がこの成果を残すことができたことは言うまでもありません。日頃より多大なるご支援、改めて感謝申し上げます。 次なるステージである来年2月〜3月の七大戦と全国大会に向け、今後もより一層技量を磨いてまいりますので、これからも暖かく見守ってくださると幸いに思います。今度は関東の空で、京大Discus『蒼月』とともにお会いしましょう。 ↑曇天ですが...選手の集合写真。Photo by 草刈隊長 ↑Photo by 草刈隊長その2 P.S. そういえば、後輩が蒼月をモチーフにしたウィンドブレーカーをデザインしてくれたらしいです。Tシャツかポロシャツでも販売されるかも? |
2024年10月29日
東海関西競技会Day5、6
posted by 京都大学体育会グライダー部 at 17:35| Comment(0)
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